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電源整流ダイオードのSBD化
Using SBDs for rectifier diode
 
 帰還アンプの時代に初めて我が家の音を聞いたオーディオ・マニアの感想は”こじんまりとした音”でした。
その後、無帰還アンプになってからは、”高域が出ていない”と噂されたり、凡や、正月に帰って来る息子にも、ピアノの蓋が閉まったような音と言われていました。
また、友人の中には、”無帰還アンプの音は刺々しい”と言う人もいました。

あれから4年が経ち、横穴掘り2号機の帰還を減らす中で、ノイズの揺れが大きいので、初めて、アナログ・オシロスコープで無信号時のノイズを観測しました。
無信号時のノイズの観測ですから、オシロスコープの電圧レンジをフル・スケールにして、かつ、プローブは×1のプローブを使いました。
その結果、無帰還アンプの出力波形にスパイク・ノイズが出ていることが分かりました。
これは、電源整流ダイオードのリカバリー・ノイズですから、SBDを使えばなくなります。
さっそく、電源整流ダイオードをSBDに取り換えると、狙い通りにスパイク・ノイズはなくなりました。
同時に、音も違和感のない音に変わりました。
そんな中、友人の設計・製作した試作品の超シールドの無帰還アンプ(以下、超シールド)をお借りしました。
しかし、しばらく借りたままになっていますので、音を聞こうと思い通電しながらノイズを測定し、無信号時の出力波形観測しました。
驚いたことには、この超シールドにはスパイク・ノイズがないのです。
ところが、観測中に長らく使って来たこのアナログ・オシロスコープを壊してしまいます。
そこで、急遽、秋葉原に出かけて、ディジタル・オシロスコープを買って来て観測し始めました。
その結果、アナログ・オシロで見えなかったスパイク・ノイズが、ディジタル・オシロスコープでは見えることが分かりました。
やはり、超シールドにもスパイク・ノイズがありました。
ところで、超シールドは借り物ですが、友人から自由に弄って下さいと言われていますので、さっそく、電源整流ダイオードをSBDに取り換えました。
こちらも、狙い通り、スパイク・ノイズはなくなりました。

そして、超シールドをLM帯の2号機に変えて音を聞くと、またまた、音がよくなりました。
それは、弦楽器(チェロ)の美しさです。

◇ヒント
そのとき、2号機と超シールドの違いは利得と帯域幅です。

表1:諸特性
項目 単位 2号機 超シールド 備考
利得 dB  28.5 20.0 注1、注2 
帯域幅(上限) Hz 5.0k 110k 注3
注1: 負荷抵抗:11Ω
注2: 周波数100Hz
注3: 100Hzを基準にして、利得が1/√2になる周波数

利得に関しては、超シールドは現状のアッテネーターとうまくバランスしますし、使用帯域の125〜900Hzに対して余裕があり、弦楽器の倍音が十分出ます。
使用帯域とパワーアンプの帯域幅に関しては、アンプA、アンプBも問題があります。
それは、帯域幅が広いと違和感が増えるので、わざわざ、帯域幅を狭めています。
SBDでスパイク・ノイズをなくした今、帯域幅を広げようと言うわけです。

◇まとめ
これまで、無帰還パワーアンプの音を聞き、まだまだ音はよくなるはずであると、無帰還パワーアンプを手厚く擁護して来ました。
すなわち、”無帰還”パワーアンプは未完成であり、否定や、異論をはさんだり、また、放棄するほど、検討は進んでいないと思っていました。
案の定、まだまだ、改善の余地はあったのです。
この項「電源整流ダイオード゙のSBD化」などの「高域感」の続きは、もっと長い間悩んだ電流正帰還の「ひりひり音」や、音像の神の騒ぎ(高周波の発振)の「もやもや音」の発見に次ぐ快挙と思います。

◇課題
帯域幅については、「帯域幅の見直し」に続け、「超シールド」も別枠でまとめます。
写真1:改革をもたらした超シールドの外観
オリジナルなアルミ板を鉄板に変更している。

初版 2017.9.1

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