目次に戻る パワーアンプの見直し トップページに戻る
Contents
横穴掘り3号機
The New Amp Cave V
 「パワーアンプの見直し」の第一回目の記事は「やっほー、やっほー(2011.2.10)」だったのですね。
久し振りにこの記事を読むと、なるほどと思われることを書いています。

、「入力-15dB/出力+15dB」⇒「入力0dB/出力0dB」とすると、高域が出るばかりでなく、ふくよかな低域、中低域に中高域、高域が調和して戻って来たのです。おまけに、アナログ時代にはなかったステージ感を引き連れてです。
いやー、夢に見た瞬間ではありませんか。
しかし、問題がないわけではありません。
それは、同時にディジタル臭さも一緒だからです。
でも、この問題は、これまで検討して来た「高域に向けたディジタル絞りの開放」によって解決出来るはずです。


なるほどと思われるのは次のようなことです。

 入力-15dBとしたために、全帯域のSN比が悪くなっていた。
輪郭や定位はあいまいだったことだろう。
 出力0dBでは、ただでさえ微小な高域信号を、わざわざ0dBに絞って聞いている。
これでは、高域のSN比が極端に悪くなる。
ちなみに、入力-15dBにし、出力を+15dBに上げられるところを0dBにしたので、計30dBもSN比が悪くなっていた。

ところで、ディジタル臭さはSN比が悪いことと同じことなのかと言えば、少し違うように思います。
それは、高域に向けて、突出してSN比が悪く、かつ、特定周波数のノイズで汚れた音と言ったイメージです。
ここで、特定周波数のノイズとは、ディジタルで信号を刻んだノイズ(量子化ノイズ)ではないかと思います。
久し振りに、Yo-ho, Yo-ho
やっほー、やっほー(2011.2.10)」から
 
 さて、前置きはこのくらいにして、FET10パラ低域用新型アンプ(L)の後継機を模索中です。
その有力候補が、中低域用新型アンプ2号機(LM)と同じ設計思想の3号機です。(注1)

注1: 中低域用新型アンプ1号機(LM)は、高域用(A)や、中高域用(B)と同じ設計として、C4,C5を100V 30μFとしたものでした。
しかし、ユリアンナ・アウデーエワのピアノ曲の中低域が響き過ぎることから、2SK2955/2SJ554を使った2号機を製作しました。
このため、混乱を避けるために、次に製作するものを3号機とすることにします。

その3号機は、Lの後継機に相応しいのかとなりますが、そもそも、Lをどうしたいのかを明確にしないといけません。
今、描いている後継機の仕様は表1のようなものです。

表1:Lの後継機に求められる仕様
項目 仕様 備考
基本設計 ±2電源 2石式単純回路の
新型アンプ
利得 30dB 16Ω
帯域幅 500Hz 注2
出力
インピーダンス
16Ω
ノイズ 500μV 5Hz〜1MHz
スイッチ・ノイズ 皆無 1mの距離
直流出力電圧 ±10mV 16Ω
注2: 最悪160Hzでもよい。
この場合、ハイブリッド・フィルターとする。

◆出力インピーダンス
一番の問題は出力インピーダンスです。
そこで、現状のLM2号機の延長で、何処まで出力インピーダンスを下げられるのか、先ずは、過去の実験データを調べてみました。

新型低帰還パワーアンプ/無帰還時の特性(LM2号)」に記録が残されています。
その生のデータを見ると、負荷抵抗16Ωにおける無帰還時の利得は37.23dB、出力インピーダンスは3.69Ωでした。
この測定値から、利得30dBの出力インピーダンスは、1.65Ωです。

一方、帯域幅についてもデ−タがあります。
無帰還時の特性(LM2号)(その2)」の記録によると、利得を29dBにしたときの帯域幅は341Hzでした。

新型低帰還パワーアンプ/低電圧電源(その2)」によると、電源電圧22.5V→9.5Vに下げたときに、出力インピーダンスへの影響はなかったと記録されています。
しかし、帯域幅はおよそ1/2に狭まっています。

また、「低電圧電源」のところでアイドル電流と出力インピーダンスの関係のデータがあり、アイドル電流1A/0.5Aで0.33Ω/0.46Ω(比は0.72)です。
したがって、アイドル電流を今の2倍(2A)にすれば、出力インピーダンスはおよそ1.65Ω×0.72倍=1.2Ωに下がることになります。

表2:利得を30dBにしたLM2号機の特性(試算表) 
項目 測定値 負荷抵抗 備考
利得 30dB 16Ω 注3
帯域幅 300Hz 注4
出力
インピーダンス  
1.65Ω
アイドル電流:1A
注5
1.2Ω
アイドル電流:2.0A
注3: 周波数 100Hz
注4: 100Hzを基準にして、利得が1/√2になる周波数
注5: オン・オフ法 100Hz 入力端子を開放
3.69Ω/2.24=1.65Ω(7dB相当で換算)
アイドル電流2Aでは、1.65Ω×0.72=1.2Ω

さらに、最近の出力インピーダンスの測定データは、「閉ループの鎮静化/中低域用新型アンプ (LM)のところにもあります。
利得20dBで1.1Ω(負荷抵抗8Ω)です。

◆まとめ
出典によって、データは違います。
出力インピーダンスの正誤表」のところで、次のように述べています。

 一昨日、半日掛けて、「帰還減らし34記事)」、「新型パワーアンプ(出力インピーダンスの訂正までの90記事」のチェックと訂正を終わりました。
幸い、「FET12パラ低域用新型アンプ 25記事」には、元々間違い発見から始めたようなものですから、訂正箇所はありません。


ひょっとすると、このところで訂正漏れがあり、小さ目な出力インピーダンスになっていることも考えられます。
このため、出力インピーダンスを実測しながら「横穴掘り3号機」の製作を進める必要があります。
もしも、正しいとすると、利得を30dBにしたLM3号のアイドル電流を2Aにすれば、出力インピーダンスは1Ω程度には出来そうです。

◆続く

初版 2014.3.9
注1および記述追加、横穴掘り3号機/目次に編入 2014.3.17

inserted by FC2 system